ロンドンオリンピック出場の土井杏南さん、昨年の初場所で十両優勝した大栄翔関(高西勇人さん)らが出身校である朝霞市立第一中学校(嶋徹校長、6月現在生徒数826人)。文化面でも、よみたん2016年10月号で紹介した吹奏楽部が全日本アンサンブルコンテストで銀賞を受賞するなど、活躍がめざましい。オリンピック・パラリンピック機運の醸成を図ろうと、朝霞市が3年間にわたり招聘している「JOCオリンピック教室」。同校で平成30年5月29日~31日の3日間にわたり行われたのでリポートします!
※年齢は2018年6月現在
●岡里明美(おかざと あけみ)さん【バスケットボール】
1996年アトランタ五輪のバスケットボールに出場、2009年には日本代表チームで女性初の日本代表ヘッドコーチという実績を持つ岡里明美さん(43)が平成30年5月331日、2年1組・2組に対しそれぞれ授業を行った。
実技では、生徒が6チームに分かれ、バスケットのパスを円になって行い、ボール1個や2個の場合で何回続くかという競技と、シュートで先に5個入れるという対抗戦が行われた。各3回戦でその合間に作戦会議をチームごとに実施。「シュートが得意な人の順番を早める、バスケットゴールの板の中央をねらうようチームの皆へ伝える」などと生徒から発表された。岡里さんは、「ルールを守ってやってくれました。自分自身に拍手!」と生徒を讃えた。
岡里さんは座学で、中2でバスケット選手になる夢を見つけ、中学の卒業式後すぐに愛知県にあるバスケット強豪高校に入寮した思い出を紹介。初めての寮生活当初は、知り合いもいない、進学校だから勉強もしなくてはならないと毎日毎日が精一杯だった。家に帰りたいと何日も泣いていた。でも「自分で決めたことだから」、「まわりにたくさんの応援者がいるんだ」と岡里さんは思った。入寮する日に駅へ見送りに来た父母が、ホームから電車が去っていく際にぼろぼろ泣いていた。父の涙を初めて見たという。その光景を思い出して、辛いときやさみしいとき「あきらめてはだめ」(エクセレンス)と思う癖を持つようになった。
中学生時代から他県の選手に友達がいた。その仲間とはプライベートでも仲良しだったが、バスケットの試合では一切口をきかない、目も合わさなかった。高校や実業団でもその友達と試合で会うが、互いに話さない。お互い実力を認め合っていたので、試合会場で一切口をきかなかったのだ。全日本で同じチームに入り、はじめてバスケットについて話した。引退後、今でも友達だ。
◎オリンピックバリューについて
①エクセレンス(卓越)=頑張る、あきらめない、すばらしい行動、考え
②フレンドシップ(友情)=仲間、協力
③リスペクト(敬意・尊重)=感謝、思いやり
フランス人で近代オリンピックの始祖・クーベルタンの写真を示しながら岡里さんは、「オリンピックは、若者たちが健全な肉体・健全な精神を持てば、社会の発展を促す。世界で行えば友情が深まり、世界平和につながる。これを簡単にしたのが、3つのオリンピックバリューだ」と説いた=写真=。
授業では、2つの課題についてグループワークも行われた。①運動の時間を振り返り、実践できたオリンピックバリューを書き出してみよう、②日常生活、日頃の生活の中でオリンピックバリューにあてはまることを考えてみよう(部活、学校行事等で、がんばったことやこれからがんばりたいこと)の課題に対し、生徒たちは、「声かけ(応援)できた」、「両親への感謝」、「大きな声であいさつ」などたくさんのバリューを発表していた。
岡里さんは、「オリンピックバリューは人々が人生をより良く生きるための大切な価値。オリンピック選手だけでなく皆の日常生活にもあって、共有してほしい。自分自身に対してもリスペクトしてほしい。中学生は可能性のかたまりだ。失敗しようと成功しようと、すべての経験が宝物。積極的にチャレンジを」と力を込めていた。
バスケットボール部所属の田島陽人(はると)さん(中2)は、「運動実技の時間では、自分でやるより人に教えるほうが難しかった。先生のワンハンドで入るシュートを見て、かっこいいと思った」と笑みを見せた。
その④鈴木彩香さん【ラグビーフットボール】は⇒こちら